カウンセリング

回想療法

心理療法の一つに「回想療法(回想法)」というものがあります。高齢者、とくに認知症患者へのアプローチとして行われるもので、その人が昔聴いていた音楽、当時の写真、子供の頃によく遊んだおもちゃなどに触れ、グループで思い出や経験を語り合います。

アメリカの精神科医、ロバート・バトラーが提唱し、現在では日本の高齢者施設や認知症病棟などでも取り入れられています。

思い出や記憶が良い刺激となって脳が活性化され、認知症の進行を予防するという効果もありますが、それと同時に今までの自分の人生を振り返ったり、懐かしんだりすることで自然と穏やかな気持ちになり、今の自分を肯定的に捉えられるようになるという心理的な変化も期待できます。人生を豊かにする手法とも言えるかもしれません。

3年ぶりに行動制限のなかった年末年始、私は帰省した折に、自分が幼児期に描いた絵を見る機会がありました。自由な色彩や発想もおもしろかったですが、描かれている当時流行っていた遊びやアニメキャラクターなど、とても懐かしい内容のものばかりでした。

普段の生活ではすっかり忘れている、子供の頃のような楽しく穏やかな気持ちになっていて、昔を振り返るのもいいものだなと思いました。

高齢者、認知症患者に限らず、回想することで普段ない刺激が得られるのだと身をもって実感したのです。

 

年末年始を経て、次は年度末。節目節目で今までの自分(今期、今年よりももっと昔からの自分)を振り返ってみるのもおもしろいかもしれません。

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