カウンセリング

レジリエンスを高める

2023年もいよいよ後半ですね。この先の進路に向けて考えている人や、目標に向かって行動している人、まだまだよく分からないのでとりあえず頭の片隅にそっと置いている人もいるかもしれません。私はとある試験があり、それに向けて勉強中でした。

 

試験…でふと連想したのは学生時代の受験のこと。受験のときにはストレスを強く感じ、不安と焦りでいっぱいだったことを思い出しました。このような状態において重要となるのが「レジリエンス」。受験などのストレスフルな状況を経験しても、多くの人は通常通りに生活を送ることができていますね。レジリエンスとは、ストレスにさらされた後も心が不健康にならずに、または不健康になったとしても徐々に回復して日常生活を送ることができる力のことです。石毛・無藤(2005)は、中学3年生を対象にストレスとレジリエンスの関係を調査し、レジリエンスの「自己志向性(自ら問題解決を図る自立的な傾向)」・「楽観性(物事をポジティブに考える傾向)」と、母親や友達など周りのサポートがストレスの抑制に影響することが示唆されました。つまりレジリエンスは、ストレスを受けた後、心を健康に保つために重要なものなのです。では、レジリエンスを高めるためにはどうしたら良いのでしょうか。

 

小林・渡辺(2017)の論文では、ソーシャル・スキル・トレーニング(以下、SSTと表記)が中学生のレジリエンスに与える影響について調査しました。SSTとは、社会の中で必要な能力を訓練するプログラムのことです。ここでは、SSTが特に中学生男子のレジリエンスを高めたことを示し、SSTを実施することでレジリエンスが高まる可能性を示唆しました。SSTの具体例として「アサーション」や「良いところを褒めること」などが挙げられます。過去のブログでも「アサーション」や「良いところ探し」「褒め方のテクニック」などを紹介していますので、その内容を参考にしながらSSTをやってみるのはいかかでしょうか。そして一緒にレジリエンスを高めていきませんか?

 

参考文献

・「中学生における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートとの関連 受験期の学業場面に着目して」、石毛みどり・無藤隆、教育心理学研究53巻3号、p.356-367、2005

・「ソーシャルスキル・トレーニングが中学生のレジリエンスに与える影響について」、小林朋子・渡辺弥生、教育心理学研究65巻2号、p.295-304、2017

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