心理学

気持ちの切り替え

夏のパリオリンピックでは、日本選手の活躍は目覚ましいものがありました。オリンピックという舞台を目指し、日々、鍛錬を重ねてきた選手たちは、競技技術が一流なのは当然ですが、何よりもメンタルの強さは超一流なのでしょうね。選手へのインタビューの中では「気持ちを切り替えて」という言葉を何度か耳にしました。劣勢の中での大逆転には、「気持ちの切り替え」が成功したからこその高い集中力があるのではないでしょうか。

さて、失敗をしたときにどのように考えると気持ちの切り替えに繋がるのでしょうか。どんなときも「自分はできる」という自信を持ち続けられるのか、その一助となることをお話しできればと思います。

「うまく成し遂げられるだろう」という自信のようなものを「自己効力感」といいます。この自己効力感を失われた状態が「学習性無力感」といい、「いくらがんばったところで自分にはできるはずがない」と思っている状態です。この「学習性無力感」はネガティブな出来事が起きたときの原因の捉え方に関係があると言われています。

原因の捉え方を「原因帰属」というのですが、原因帰属には3つの次元があり、

①「その原因は自分の内部にあるのか、外部にあるのか(内在的-外在的)」

②「その原因は安定的なのか、不安定なのか(安定-不安定)」

③「その原因は全般的なものか、特定的なものなのか(全般的-特定的)」があります。

ネガティブな経験をしたときに、①自分にある(内在的)②安定的(安定)③全般的である(全般的)と考える場合が無力感に繋がるといわれています。

例えば、サッカーの試合で仲間のパスを取り損ねてしまったとしましょう。「自分はサッカーの才能がないから(内在的)、いくら練習してもいつも同じミスをする(安定的)」という考えでは、モチベーションも上がってこないでしょう。一方、「失敗したのは、たまたま、コースが難しかったからだ(外在的、不安定的、特定的)」と考えると無力感が生じにくいと言われています。

オリンピックの選手は、自分の能力(内在的)の検証もするでしょうが、窮地の状況では、「(ミスは)たまたまで次は大丈夫。やれる。」というようにこれまでの積み重ねを信じ、取り組んでいるのかもしれません。

皆さんも、ネガティブなことを経験したときに、原因をどう捉えているか点検してみて、自己効力感の維持に繋げてみてください。

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