「動機づけ」という言葉をご存じでしょうか。動機づけとは「モチベーション」とも呼ばれ、「人が目的や目標に向かって行動を起こし、それを達成するまで維持・持続させるための心理的な過程や機能」のことです。つまりは「やる気のもととなるもの」です。
みなさんは「なんとなくやる気が出ない」、「勉強しようと思ってもなかなか取り組めない・続かない」などの経験があるでしょうか。やらなきゃいけないとは分かっていても、なかなかモチベーションが上がらないこともあるかと思います。「動機づけが起こるプロセス」や「それを維持するためにはどうすればいいのか」について考えてみたいと思います。
まず、動機づけの種類についてです。動機づけには2種類あります。外部からの刺激や報酬を目的とする「外発的動機づけ」と、行動そのものが目的となる「内発的動機づけ」です。外発的動機づけの例としては、「テストで80点以上取ったら好きなケーキが食べられる」、「遅刻をしたら罰としてスマホ没収」などです。一方で内発的動機づけの例としては「電車が動いている仕組みを知りたいから調べる」、「楽しいからダンスをする」などが挙げられます。この動機づけでは「好きだから」・「楽しいから」・「知りたいから」という自分の内面から湧き出る感情自体が行動のきっかけになっているのです。
「外発的動機づけ」は即効性がある一方で、報酬がなくなると行動しなくなったり、もともと感じていた楽しさを失ってしまう「アンダーマイニング効果」が起こることもあります。「内発的動機づけ」は興味関心がないものには効果を発揮しませんが、持続しやすく、パフォーマンスの向上にもつながりやすい側面があります。
動機づけが起こるプロセスを理解する上で代表的な理論が2つあります。1つめは「マズローの欲求5段階説」です。人間の欲求は低階層から「生理的欲求」「安全欲求」「社会的(所属)欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に分かれており、低階層が満たされるとより高階層の欲求を求めるという考えです。例えば「自分はこのクラスの一員だ」と感じるためにはまず、そのクラスの環境がその人にとって安全と感じられなければなりません。また、そもそも安全と感じるためには、睡眠や食事などといった生理的な欲求がまず満たされていなければならないのです。
2つめの理論は、「自己決定理論」です。先程の内発的動機づけを高めるためには、「有能性(自分はできるという感覚)」「関係性(他者とのつながりや他者に貢献している感覚)」「自律性(自分で決めている感覚)」が必要だとする考えです。動機づけが起こるプロセスには段階があり、社会に貢献している感覚や自分でコントロールできている感覚が重要なようですね。
では、実際に動機づけを維持するためにはどうすれば良いのでしょうか。まず前提として、「人は誰しもやる気になれないときがある」と考え、「やる気になれなかったとしてもそれはおかしなことではない」という共通理解を持つことが大切です。そのうえで「失敗してもそれは学び」と捉えるようにしたり、「我々の能力にはまだまだ伸びしろがある」と考えたりするのも良いでしょう。
周囲は、やる気がないことを否定せずに「そういうときもある」と捉えた上で、マズローの理論や自己決定理論の観点から今ある活用出来そうな資源を考えたり、できそうなことからチャレンジできるように環境や人間関係を調整してみたりするのもいいかもしれません。その人が自身の内面にある動機に気づけるように、共感的にサポートしていけると良いですね。
