朝晩の気温がずいぶん上がり、沈丁花の香りがどこかから流れてきて、いつの間にか春なんだなと気づくこの頃です。
近所の庭に「ハクモクレン」の木があります。毎年いつの間にか、たまごのような白いつぼみをつけたかと思うと、暖かなある日、見事な大きな白い花を咲かせます。夜、仕事の帰りなど、ぼんやりと白い明りが灯っているようで、思わず「おお、見事だ」と声が出てしまいます。
モクレンは1億年前には地球上に存在していたと言うことを最近知りました。大きな恐竜が闊歩していたそのわきにモクレンが咲いていたのです。恐竜も、モクレンを見て、美しいなとか春だなとか感じていたのかもしれません。大きな恐竜は約6千万年前の隕石の落下により絶滅してしまいましたが、モクレンと小さい生き物たちは生き残り、今も命を繋いでいます。小さい恐竜は鳥となり、現在もモクレンの周りを飛んでいます。
モクレンが咲くと、もうすぐ桜の季節がやってきます。自然のサイクルの中で、私達も生かされているのだなと、見事なモクレンを眺めながらぼんやりと思う夜でした。