毎日のようにバスや電車に乗って出勤している。ネットで欲しいものを注文しクリックすると数日とかからず商品が届く。スーパーやコンビニではたくさんの商品があふれている。体調が悪いときは、近くの病院へ行く。水道をひねれば水が出て、寒くなればお湯も出る。生活する上で必要なことはいつも身近にあるが、どれもこれも誰かが関わっているからこそ利用できるものである。ありがたいことだなと度々思う。
勤労感謝の日に向けて、人は誰かとの関りの中で生きていること、一人では何一つ作り上げることが出来ないことを色々と書く機会があった。10年ほど前まで、イラストはダウンロードではなく、イラスト図案集についているCD-ROMを利用していた。たくさんの職業の人たちが描かれているイラストがあったが、ある時ふと「この職業は男性・こちらは女性と明らかに分かれている」と言うことに気が付いた。それまで疑問に思わず利用していたが、男女で分けられている違和感を強く感じた。「職業に男女の違いは、現在はあまり関係ないよね」と公言していたにも関わらずである。自分自身の中にある見えないジェンダーバイアスに気づいた瞬間だった。男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、という知らず知らずに刷り込まれた意識は、知識として学んだ性差や人権に隠れて自分の奥底に根付いていたのだと、自分にがっかりしてしまった。それまでも自分自身の奥にある澱のように固まっていたものに気づくことはあった。その度に、新しい考え方や見方を少しずつ取り入れてきたと思っている。それでも、まだまだ自分の考えの中には学びや気づきが必要なことは多くあると感じた出来事だった。自分自身にバイアスがあるのだと確認できたことも必要なことだった。
あの日から、職業に関するイラストを使えなくなってしまったが、現在はイラストも多数の中から選べる時代になった。ありがたいことである。
社会で生活するにあたって、どんなことも誰かの仕事があってこそ回っている。毎日自分の仕事に誇りと責任を持って取り組んでいるからこその安全な毎日であることに感謝したい。
