思春期とはいつ頃から始まるのでしょうか。最近では10歳ごろから始まり、だいたい18歳ごろまでと考えられています。思春期は、心身の変化の激しい時期と言われます。身体面では、第二次性徴といい、子どもの身体から大人の身体への変化が見られます。心の変化としては、性的な関心も高まり、異性を意識するようになったり、自分への関心も非常に高まる時期です。また、「両価性」という言葉が使われますが、相反する価値観に揺れ動き、感情も不安定になりやすいのです。例えば、親から自立したくて反発してみたかと思えば、不安になり甘えたくなるというような感じです。
「中2病」という言葉が流行しましたが、「かっこよくありたい」「他人とは違う自分でいたい」「大人っぽくありたい」という思春期の自意識の高まりを表している表現ですね。 また、自分に意識が向くこの時期、理想の自分と現実の自分に差を感じて戸惑い、自己評価を維持するのが難しくなることもあります。こんなややこしい思春期、どうやったら無事にサバイブしていけるでしょうか。ヒントはスタジオジブリの映画「魔女の宅急便」にあるかもしれません。
魔女修行として、親元を離れ、相棒の黒猫ジジと箒にまたがり新しい街で生活を始める魔女の少女キキのお話しです。年齢も物語の設定もまさに思春期の課題が見えてきます。物語最初の方では、魔女の象徴である黒色ワンピースの自分とカラフルな流行の服を身にまとう同年齢の同性の子を意識するキキの姿がありますが、思春期の自分への意識の高まりを表しているようですね。また、トンボくんの出現に初めて異性を意識し、今までとは違う感情に戸惑う様子が見られます。さらに、その戸惑いから、現実の自分(同年齢の女の子のように振舞えないし、ファッションもできない)を知り、一気に自信を失ってしまうのです。そのために魔法も使えなくなり、「自分は何もできない」と窮地に陥ってしまいます。相棒だったはずのジジともコミュニケ―ションがとれなくなり、自分の力で解決の糸口を見つけなくてはならなくなったキキ。紆余曲折ありながら、物語のラストは、皆さんもご存じの通り、魔女らしくないデッキブラシにまたがり、無我夢中でトンボくんを助けに向かうのです。
自信もないけれど、見た目もかっこ悪いけれど、でも、私がやらないと!というキキの姿こそ、思春期にまつわる面倒くさい事柄の解決のヒントになるのではないでしょうか。解決するには、自分で進もう、やろうという主体的な行動力が必要となるようです。また、そんなキキを支える人々がいることも忘れてはいけません。様々な人との出会いに、愛情を感じ、自分は愛情を受けてきた、そして人を愛することができるという自信も見つけたのでしょう。
周りに必ず、助けてくれる人はいます。例えば、学校の先生、習い事の先生、心理カウンセラーなども、悩みに耳を傾けて一緒に考えてくれるでしょう。安心して思春期を乗り越えていきましょう。